西の魔女が死んだという小説を読みました。
この本は小学生や中学生の読書感想文の課題図書としてよく読まれているようですね。
でもこの本は僕のようなアラサー会社員にもぜひ読んで欲しいと思える一冊でした。
心に残った箇所を取り上げて書評していきたいと思います。
Contents
[西の魔女が死んだ]はどんな小説?
主人公のまいは学校の人間関係に悩んで不登校になってしまった中学生の女の子です。
そんなまいをお母さんは山の中に1人で住んでいるおばあちゃんの家に1ヵ月預けることにします。
おばあちゃんと2人で過ごす1ヵ月間にまいがたくさんのことを学ぶ。そんなストーリー。
ざっくりと説明するとこんな感じですね。
本の裏表紙の概要は下記の通りです。
中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。
ここからは僕が心に残った箇所を書いていきますね。
人には誰しも良い面と悪い面がある。そしてそれを理解する
まいはおばあちゃんの家の近所に住むゲンジさんというおじさんに嫌悪感を抱いています。
初対面で怒鳴られたこと。おばあちゃんの悪口を偶然聞いたこと。お気に入りの場所を奪われそうに(奪われるかもしれない)と思ったこと。
ですが、おばあちゃんはそれぞれ必ずしもそうでもない可能性をまいに優しく伝えます。
事実、鶏小屋が壊れた時、おばあちゃんがゲンジさんに相談すると次の日の早朝には修理に着手してくれました。
これは人には良い面も悪い面もあり、それを理解してあげることが大切ということを伝えたかったのかなと。
作中のゲンジさんは壊れた鶏小屋を早朝から修理してくれるという良い面もありますし、おばあちゃんの悪口を言うという悪い面もあります。
まいが嫌悪感を抱いたのは悪い面だけ偶然見てしまったからかもしれません。
人は誰しも良い面と悪い面がある。そしておばあちゃんはいつもゲンジさんの良い面だけを見ようとしていました。
・・・何でもそうですがやはり悪い面というのは良い面以上に目立ってしまいます。
芸能人のスキャンダルがあればいろんなメディアがそこだけ切り取って「最低!」と悪く伝えます。
僕らの日常生活においてもちょっとしたことで他人を悪く評価してしまうことってありますよね。
並んでた電車やバスの列に割り込まれて「なんだこの人。。」と嫌悪感を抱くとかね。
でも人には必ず良い面もある。
悪い面だけじゃなくて良い面を見よう。また悪い面だけ断片的に見て人を判断はしてはいけない。
おばあちゃんはそう言っていた気がします。
注目される=幸せとは限らない
おばあちゃんが実は魔法使いということをおばあちゃん自身から教えてもらったまいは「なんで魔法が使えることを誰にも言わないの?」とおばあちゃんに質問します。
まいにとっては人々から注目されスターになることが成功だと思っているからですね。
魔法使いがいる!なんてことになればおばあちゃんは大注目されるでしょう。
それに対しておばあちゃんは「人の注目を集めることは、その人を幸福にするでしょうか。」と答えます。
これは現代、無意味にSNS等でとにかくフォロワーやいいねを欲しがる人にバシッと当てはまるなぁと思いました。
フォロワーが多いほうが価値がある・優位だと考えマウントを取る人は非常に多いです。これは本当に多い。
結果フォロワーを増やそうとしている人がたくさんいるわけですが・・・それが本当に幸せにつながるのでしょうか。
よくSNSで若い女性が自撮りをたくさんアップしているのを見かけるのですが、危ないなぁといつも思ってしまいます。
注目されるということは常にたくさんの人に見られている状況なわけです。
これって冷静に考えると結構こわいこと。
注目されると気持ちいいでしょう。ですが結果的に幸せに繋がっているかは分からないということですね。
自分が楽に生きられる場所を見つける
まいが人間関係に悩み転校するのは逃げているようでうしろめたいとおばあちゃんに相談すると、おばあちゃんはこう答えます。
「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きる方を選んだからといって、だれがシロクマをせめますか。」
これは個人的に響いたフレーズだったのですが…やはり人間は自分が得意な場所でしか活躍できないと思うんですよね。
僕は営業をしているのですが、いつもなんか違うと思っていて…実際どの仕事が適しているかなんか分からないのですが。
でも蓮の花は空中には咲かないとおばあちゃんが言っていたように、得意じゃないことをしていても花は咲いても綺麗で大きな花は咲かないのかな〜と。
自分が好きで得意なことをした時に花開くのかなとおばあちゃんの言葉を聞いて思いましたね。
おばあちゃんと喧嘩ぽくなって最後分かれる時に言えなかったこと
まいはおばあちゃんの家から帰る時、ささいなわだかまりを残したままにしてしまいます。
そのわだかまりのせいでいつも言っていた「おばぁちゃん大好き」を言えずに帰ってしまうことになります。
その2年後、おばあちゃんが亡くなってしまうんですね。
まいは言えなかったことをすごく後悔します。
こういうささいなわだかまりって僕ら大人でもたくさんありますよね。
仕事だったり…仲の良い友人であっても。
そのささいなわだかまりが残ったせいで疎遠になってしまうことすらあります。
でも一歩こちらから歩み寄ればわだかまりは簡単に吹き飛んでしまうものなんですよね。(プライドが邪魔してできなかったりもするのですが。)
そんなことをまいから改めて教えてもらった気がしました。
西の魔女が死んだはとにかくおばあちゃんの優しさが染み渡る小説
最後に西の魔女が死んだは本当におばあちゃんの優しさが読者にまで伝染するような小説でした。
日々いろんなことに急かされて落ち着かない毎日ですが、この本を読むと時間の流れがゆっくりになって心から優しい気持ちになれます。
僕自身の考えに近い部分もあったので読んで確信のようなものも得られました。
読んだことのない全ての人に読んで欲しい小説。
僕はおばあちゃんにはなれませんが、いつか西の魔女のようなおじいちゃんになりたいと思いました。