今回の記事ですが、今シーズン中に計10回開催した「高知ユナイテッドGKクリニック」について書こうと思います。

2024シーズン終了後、クラブと話し合い、ぜひ実現させたい活動として提案したのがこの高知ユナイテッドGKクリニック。
こちらの活動は、高知新聞やキックオフ高知にも取り上げていただいきました。

この記事では、この活動をはじめたきっかけ、現役の選手がやる意義、この活動に込めた思いなどについて発信しようと思います。
GKクリニックをはじめたきっかけ
きっかけは、2024シーズンの子どもたちからの声。
JFLを戦っていたこのシーズンは、試合後にスタジアム正面口に選手が出てきて、ファンサービスをしていました。

球技場での浦安戦後のファンサービス。1800人収容に1600人くらい来ていただいた時です。広いスタジアムもいいけど、ほぼ満員の球技場に、熱気が籠もる感じの雰囲気好きだったなあ。
ファンサービス中、何人かの子どもたちから「GKをはじめてみたい」「GKを教えてほしい」という声をかけてもらったんです。
中には僕たちの試合を見てくれて、GKをはじめたいと言ってくれる子もいて。

「子どもたちに夢を。」言葉にするのは簡単ですが、表現するのは難しい。でも、わたしがサッカーをする意味でもあります。
しかし、聞くところによると高知では、数ヶ月に1度、GKトレーニングができる小学生対象のイベントがあるだけで、日常的に専門的なトレーニングが受けられないという現状を知りました。
せっかくGKをはじめたくても、フィールドプレーヤーみたいに教えてくれる人がいない。正しいトレーニングが受けられない。
スタジアムにきて一生懸命応援してくれる子どもたちのために、何かを還元したいという思いが強くなり、自分なりの行動を起こそうと思ったのが始まりでした。
GKトレーニングが当たり前だった少年時代
わたしは静岡県で生まれ育ちました。
静岡は言わずとしれたサッカー王国。
当たり前のようにJリーグがあって、親父の機嫌がいいとプロの試合を見に行けて、感動できる。
どの小学校にもだいたいサッカークラブがあって、クラブチームもたくさんあって、たくさんの素晴らしいコーチがいらっしゃいました。
小学生時代の大杉は運良く、地区トレセン、県トレセン、ナショナルトレセンにも選んでいただき、専門的なGKトレーニングを受けることができたのです。(自分のチームではフィールドプレーヤーの練習もしていました。)
中でも、トレセンで指導してくれたGKコーチの亀川さん、清水エスパルスのレジェンドである真田雅則さん、エスパルスや京都サンガでもGKコーチをされたアダウトさんのGKトレーニングは、今の自分のプレースタイルを支えてくれています。
静岡学園中学に行ってからも、人工芝で、この年代のGKとしてはすばらしい環境でトレーニング。
県内トップレベルの高校生を間近で見ながら、ジュビロ磐田でGKコーチをされている小池さんに基礎を叩き込んでもらいました。
常にGKトレーニングが出来たわたしは、運が良かったんですよね。
小学校4年生くらいからGKトレーニングが受けれただけでなく、上位カテゴリー(プロや高校、大学リーグなど)を見てきた方々に教わることができた。
そんな彼らの説得力はすごかったし、それを聞いて私はGKにのめり込むことができ、たのしさに気づくことができたんです。
試合後のファンサービスで子どもたちから「GKをはじめてみたい」「GKを教えてほしい」と言われた時、改めて自分に教えてくれた方々への感謝が湧いてきました。
だからこそ、与えてもらってばかりだった自分が、これからは与える立場にならなきゃいけない。
このような原体験が、GKクリニックという活動への原動力になりました。
現役選手であるわたしがGKクリニックを行った理由

らいへいがでかい。手やめてえ〜。
サッカー選手という本業がありながら、オフの時間を利用してGKクリニックを継続したのには以下の理由があります。
・教えたことや心構え、選手としての姿勢などを、プレーを通して見せることができるから
・ピッチで役立つ判断の仕方や考え方を一次情報で伝えることができるから
・伝えることでアウトプットができ、頭の整理ができるから

高知ユナイテッドGKクリニックでは、現役選手が本気指導しました。感覚派の小窪の指導は擬音が多いです。
GKクリニックの中では、トレーニングを始める前に「レクチャー」の時間を取っていました。
その日のトレーニングに合わせて週末の試合の中から自分のシーンをピックアップし、なぜこのプレーを選択したのか。判断をするまでに何を見てどう予測したのか。
これらを参加選手に伝えていました。

「クロスボールへの対応」がテーマだったこちらのセッション。質問に対する参加選手の答えに学ぶこともたくさんありました!みんな真剣に聞いてくれてウレシイ。
このように、実際にピッチに立った選手からの一次情報を聞く機会を作れるのは、現役選手だからこそ。
また、私にとっても良いことがあって、準備の段階で小中学生にわかるような言葉まで落とし込むことで、思考がシンプルになり、頭が整理されていくんですよね。
このようなwin-winな相乗効果もまた、お互いにとって有意義な活動になった理由だとおもいます。

「コーチング」がテーマだったこちらのセッションでは、DFの今井選手にも来ていただきました。FP目線で、GKにどんな声をかけてほしいのか。どんな存在であってほしいのか。今井自身もコーチングが特徴の選手ですからね。たくさん伝えてもらいました!グラシアス。
トレーニングでは、とにかく参加選手が成長するきっかけを与えることに注力しました。
こちらとしても最初は試行錯誤でしたが…
月に一回の練習でいきなりうまくなるわけない。
でも、「こうすればもっと良くなるかも」「次はこうしてみよう」みたいに、自分のプレーを考える気づきを増やすことはできるんじゃないかと思うんです。
技術面に関して言えば、お手本を実際に現役選手が見せて、それを見て真似をする。
客観的に見て動きが違えばその都度修正して….
これを繰り返すことが一番成長のきっかけをつかみやすいんじゃないかと考えました。もちろん本業に支障が出ない範囲でね。

実際に井上選手のブロッキングと対峙。迫力。
1年間のGKクリニックの活動に込めた想い
高知ユナイテッドのGK陣やクラブ関係者の皆さんのおかげで、今年1年間で計10回開催することができました。
先日の今年ラストの活動では、体調不良で来られなかった子たちも多くいた中、たくさんのGKファミリーといっしょにトレーニングできました!

ご参加ありがとうございました!ご協力いただいたPROACE様とN1goalkeeper Japan様ありがとうございました!感謝!
ここまで読んでいただいた方はわかるように、「高知ユナイテッドGKクリニック」は高知の子どもたちの声から始まり、彼らの現状がわたしの原体験に重なって、それ相応の熱量で継続してこれました。
わたしが毎回のGKトレーニングで伝えたかったのは、「チャレンジすること」です。
GKはミスが失点に、失点が結果に直結するポジション。
どんなにいいプレーを続けても、たった1つのミスが評価につながるポジションです。
そのため、チームの勝利のためにはリスクを避けるプレーが最適解になることが多いと思います。(チームによると思いますが)
そんなポジション特性あってか、ミスを必要以上に恐れて、自分ができる範囲のことしかやらない子が多いと感じました。
自分から可能性を狭めちゃってる。(ここまでの5行は自戒も込めて。笑)
でもGKクリニックでは、全員GKだから、GKが感じてる理不尽さや難しさを共有しています。
だからチャレンジのミスはめちゃくちゃウェルカムっていう雰囲気作りを大事にしました。

「ナイスミス!」って言葉をあえて使ってました。良いかは知らんけども。
クロスボールに出ていってかぶってもOK。彼なりに高いところでキャッチしようとした結果だから。
シュートをキャッチミスして入っちゃってもOK。いつも弾いてたボールをキャッチしようとしたんだから。
「GKクリニックだと思う存分チャレンジできる!」という気持ちで練習してくれていたら、大杉コーチはめちゃ嬉しいです。
来シーズン以降、高知で同様の活動が継続されるかはわかりませんが、この活動を通して、一人でも多くの子どもが「GKってたのしい」「GKって奥が深い!」と思ってもらえたら良いなと思います!

